3年生になって、情報の授業が始まった。
担当は僕より年下の若い先生だった。名前はたしか、こうすけ先生。ヒカキンと同じくらいの歳だったと思う。
授業でタイピング練習ソフトを使うことになった。
僕には、オンラインゲームで鍛えた指があった。
思えば、オンラインゲーム歴は12年くらいあった。10代の子たちがスマホを触って育ってきたなら、僕は自作PCとオンラインゲームで育ってきたようなものだった。
敵を倒しながらチャットを打ち、仲間に指示を出し、どうでもいい雑談をする。そんなことを12年も続けていれば、嫌でもタイピングは速くなる。
今思えば、なかなかのオタク戦闘力である。
たしか、10分で1000文字くらいは打てていたと思う。タイピング練習ソフトの表示では、1級相当。少なくとも、教室の中で僕のスピードに追いつける人はいなかった。
現代の子はスマホ中心で育っているから、キーボードにはそこまで慣れていない。それは当然のことだ。でも僕は、ゲームのせいで逆方向に特化していた。
遊びだと思っていた時間が、無駄じゃなかった。
オンラインゲームのチャットで鍛えたタイピングが、夜の教室で僕を少しだけ救ってくれた。