2年生になって、後輩ができた。
1年生のときからずっと続けていたことがある。食堂で一人でご飯を食べている子を見かけたら、隣に座って声をかけること。
コタローも、そうやって声をかけた中の一人だった。
いつも一人で給食を食べている、おとなしい後輩だった。あまり喋らない。話しかけても、返事は短い。
それでも、毎日のように隣に座って、一緒に給食を食べた。たわいもない話をした。向こうが乗ってこなくても、別によかった。ただ隣で同じものを食べる。それを続けた。
そのうち、少しずつ言葉が増えていった。
しばらくして、コタローはハイキング部に来るようになった。松村先生が紹介してくれたような気もするし、給食で僕といろいろ話したのがきっかけだったような気もする。正直、はっきりとは覚えていない。
ともかく、僕も入っているハイキング部に、コタローもいるようになった。
鎌倉に行ったときも、コタローは一緒だった。山を登って、フクロウの森に寄って。教室の外で過ごすコタローは、給食のときより少しだけ表情がやわらかかった気がする。
それから時間が経って、コタローは変わっていった。
気づけば、友達がたくさんできていた。一人で給食を食べていたあの子が、当たり前のように仲間に囲まれて笑っている。
立派になったなあ、と思った。
僕がしたことなんて、隣に座って声をかけただけだ。でも、最初の一歩のきっかけくらいにはなれたのかもしれない。だとしたら、それで十分だった。