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ep.23 1年生

31歳が高校で立てた、2つの本気の目標。

30歳を過ぎて高校に入り直した。 それだけで、客観的に見れば十分すごいことなのかもしれない。けれど、僕自身の中では「ただ卒業する」というゴールだけでは、どうしても物足りなかった。

せっかく人生をやり直しに来たんだ。 中途半端に席を温めるだけなんて、面白くない。やるなら徹底的に、本気でやりたい。 そんな思いから、僕は入学してすぐに2つの目標を自分に課した。

1つ目は、この学校生活を「最高に面白いもの」にすること。

何か具体的なイベントの企画があったわけではない。けれど、一つだけ確信していたことがあった。 「僕が誰よりも楽しそうに、いろんなことに首を突っ込んで動き回っていれば、周りの子たちも放っておかないはずだ」

「あのおじさん、何やってるんだろう」 「なんか面白そうなことしてるな」

そんなふうに興味を持った子が一人、また一人と集まってくれば、気づけば学校全体が活気づいているかもしれない。まずは僕が「面白さの火種」になろう。そう決めていた。

これには、僕なりの苦い経験がある。 15年前、一度目の高校生活。僕は1年生の夏に、あっけなく学校を辞めた。 当時の理由は「つまらなかったから」。

けれど、今ならはっきりと分かる。つまらなかったのは学校のせいじゃない。面白くするための努力を何一つしていなかった、自分自身のせいだったんだ。 学校が面白い場所になるかどうかは、自分次第。だから今回は、待つのではなく自分から動くことに決めた。

2つ目は、学年1位の成績で卒業すること。

これは、極めてシンプルな話だ。 どうせやるなら、全力でやる。全力でやるなら、頂点を目指すのが当然だろう。それくらいの気持ちでいた。

最初から自信があったわけじゃない。達成できるかどうかの計算なんて、そもそもやり方も分からなかった。ただ「やるんだ」と決めた。それだけだ。

自信があるからやるんじゃない。可能性が高いから挑むんじゃない。 「もう、やると決めた。だからやる」 ただ、それだけ。

この感覚、10代の彼らには少し分かりにくいかもしれない。 けれど、トラックドライバーとして10年以上現場を回してきた僕の身体は、そういう動き方しか知らなかった。迷う前にアクセルを踏む。考える前に身体を動かす。

「おじさん、熱すぎるよ」

誰かに笑われたとしても、構わなかった。 31歳の「1年生」。 2つの目標を胸に、僕は全力で夜の校舎を駆け抜けていく。