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ep.17 1年生

17時登校、400円の給食。定時制高校の1日がはじまった。

初登校の日は授業がなく、ガイダンスのみだった。登校時間は17時。

校舎に入り、靴箱で上履きに履き替える。体操着(ジャージ)はあのお姉さんに押し切られてXLサイズを買ったけれど、上履きは自分の足に合う「普通サイズ」のものだ。

そのまま2階へ上がり、1年A組の教室を探した。座席表を確認して自分の席に座り、静かに待っていると、担任の前野先生が現れた。入学式で会った、あの色黒でチャラそうな雰囲気の先生だ。

「給食があるので、食堂へ移動します」

先生の口から出た最初の指示が、給食だった。

都立の定時制高校には、全校に食堂が設けられている。17時15分から40分までのわずか25分間、校内の食堂で給食が食べられる。一食400円程度だ。

給食なんて、小学校以来19年ぶりだった。僕が通っていた大阪の中学校には給食がなかったので、記憶をたどると小学生の頃まで遡ることになる。食堂に入ると、どこか懐かしい匂いがした。

実際に食べてみると、めちゃくちゃ美味しかった。

この地域の給食は美味しいと聞いていたが、本当だった。栄養士さんが毎日の献立を考えてくれているというのも納得だ。400円でこのクオリティは、外食ではまず出せない。定時制に入って最初に感動したのが給食だった、というのも少し笑えるが、それくらい満足感があった。

給食は好きな場所に座って食べるスタイルだ。僕は迷わず、一人で座っている子の隣へ行った。

「よろしくな!」

声をかけると、相手はびっくりした様子だった。が、すぐに「よろしく」と返事が返ってきた。それで十分だった。

食べながら、ふと思った。この子、僕のことを何歳だと思っているんだろう。特に驚いた様子もなく普通に返事をしてくれた。若い子は見た目だけで大人の年齢がわかりにくいから、そんなものかもしれない。

「年齢は、聞かれない限りは自分から言わずに黙っておこう」

この時、僕はそう心に決めた。そのほうが、余計な壁を作らずに彼らの世界に馴染める気がしたからだ。

400円の給食でお腹を満たし、僕の「1年生」としての日常が静かに始まった。