入学前に、体操着と上履きのサイズ合わせがあった。
指定の日に学校へ行くと、販売業者のお姉さんが来ていて、一人ひとりサイズを見立ててくれるシステムだった。並んでいる子たちは当然、先月まで中学生だった15歳ばかりだ。その列に、31歳が混ざっている。
まず体操着を試着した。学校指定のジャージは緑色だった。なかなかに、ダサい。鮮やかとか渋いとかではなく、ただただ主張のない、微妙な緑だ。これを着て授業を受けるのか、と少し遠い目になった。
XLサイズを試着すると、ぶかぶかだった。
「Lサイズでお願いします。」
するとお姉さんが言った。
「どうせすぐ大きくなるんだから、大きめにしておいたほうがいいよ。」
僕は内心思った。流石にもう成長しないと思うけど。
普段から若く見られることは多い。実年齢より下に見られることはよくある。でも、さすがに10代に間違えられることはない……はずだ。このお姉さんは、本気で僕を高校生だと思っているのか。
「もう成長しないと思います。」
「すぐ大きくなるんだから、XLにしときな。」
「わかりました。」
押し切られた。
大きめのジャージを抱えながら、ふと思った。まぁ、横には成長するかもしれないな。