合格発表の日、特に緊張はしていなかった。
落ちるとは思っていなかった。試験の手応えもあったし、そもそも「落ちたらどうしよう」という発想自体が、もう頭になかった。やると決めた。やり直しに来た。その気持ちが、不安の入り込む隙間をふさいでいた。確認しに行く、それだけの気持ちで学校へ向かった。
掲示板の前に着いて、辺りを見回した。
誰もいなかった。
全日制の合格発表なら人だかりができるものだが、定時制はそういうものではないらしい。静かな掲示板の前に、僕ひとりだけが立っていた。
自分の番号を探した。
あった。
確認完了、という感じだった。歓喜で飛び上がるとか、涙が出るとか、そういうことはなかった。「やっぱりそうか」という、静かな納得感だ。でも、それが自分らしかったと思う。覚悟を決めた時点で、もう前に進むことは決まっていた。合格はそのための切符に過ぎなかった。
家に帰って、あやちゃんに伝えた。
「受かったよー。これからがんばるね。」
「よかった!がんばってね。」
大げさな祝福はなかった。でも、それがちょうど良かった。あやちゃんはいつも、僕が決めたことを静かに応援してくれる。必要以上に騒がず、ただそこにいてくれる。その安心感が、僕にはずっと一番の支えだった。