Re:31歳、高校生活はじめました
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ep.15 高校入学前

ら」た、31ん。

入学を前に、学校で体操着と上履きのサイズ合わせが行われた。

指定された日に学校へ行くと、体育館には販売業者のお姉さんが来ていて、生徒一人ひとりのサイズを見立ててくれるシステムになっていた。僕の周りに並んでいるのは、当然ながら先月まで中学生だった15歳の子たちばかりだ。

その瑞々しい若者たちの列に、31歳のおじさんが一人、明らかに一人だけ浮きまくった状態で並んでいる。

まずは体操着の試着から始まった。 僕たちの学校の指定ジャージは、緑色だった。 これがまた、なんとも言えない絶妙な「ダサさ」なのだ。鮮やかでもなければ渋いわけでもない、ただただ主張のない、微妙な色合いの緑。

「あぁ、これから4年間、これを着て授業を受けるのか……」

鏡に映る緑色の自分を見つめながら、僕は少しだけ遠い目になった。

とりあえずXLサイズを試着してみたが、今の僕には少しぶかぶかだった。動きやすさを考えて、僕は一つ下のサイズを希望した。

「Lサイズでお願いします」

すると、採寸をしていたお姉さんが、さも当たり前のような顔でこう言った。

「どうせすぐ大きくなるんだから、大きめにしておいたほうがいいよ」

僕は内心、激しくツッコミを入れた。 (いや、流石にもう成長しないと思うけど!)

普段から実年齢よりは若く見られることが多い。でも、さすがに10代に間違えられることはない……はずだ。このお姉さんは、本気で僕を「これから背が伸びる育ち盛りの高校生」だと思っているのだろうか。

「あの、たぶんもう成長しないと思います」

食い下がってみたが、お姉さんは慣れた手つきでXLの袋を手に取り、プロの確信に満ちた笑顔でこう畳み掛けてきた。

「大丈夫、すぐ大きくなるんだから。XLにしときなさいって」

「……わかりました」

その圧倒的な「お母さん感」というか、業者としての揺るぎないマインドに押し切られ、僕はXLサイズを購入することになった。

大きめのジャージを抱え、帰り道を歩きながらふと思った。

たしかに、縦にはもう伸びないだろう。けれど、あやちゃんの実家での穏やかな生活と、僕が作る毎晩の夕食。そんな日々の中で、本当に横には「成長」してしまうかもしれない。

後日談になるが、高校生活が始まると、僕の予想通り(?)体重は少し増えた。 けれど、結局卒業するまで、あの時のお姉さんが予言した「XLがぴったりになる日」が来ることはなかった。

結局、4年間の高校生活を、僕は少しぶかぶかな緑色のジャージを着て過ごすことになった。鏡を見るたびに、あの日のお姉さんの自信満々な笑顔を思い出し、僕は少しだけ苦笑いするのだった。

つづく →