プレハブ校舎の前に着くと、すでに何人か並んでいた。
周りを見渡すと、制服姿の中学3年生と、その親御さんたちばかりだ。受付前に置かれたパイプ椅子に腰かけ、ストーブの近くを陣取った。ふと気がついた。隣に座っている親御さんたちの方が、僕の年齢に近い。
これからこんな若い子たちと一緒に勉強するのか、と改めて実感した。不思議な感覚だった。怖いとか、場違いだとか、そういう感情ではなく、ただただ「そういうことになったんだな」という、妙に落ち着いた気持ちだった。
部屋に入った瞬間から、視線を感じていた。
眼鏡をかけたおじさんが、こちらをじっと見ていた。学校関係者らしい。興味津々、という表情だった。順番を待つ間も、ちらちらとこちらを気にしている様子だった。やがてそのおじさんが近づいてきて、声をかけてきた。
「こんにちは。願書を出しにきたの?」
「そうです。」
「君はなんでうちの学校に入ろうと思ったの?」
正直に答えた。
「後悔したくないからです。やり直しにきました。」
言葉にした瞬間、自分でも驚くくらい、すっきりとした気持ちになった。覚悟は、もうとっくに決まっていた。迷いはなかった。やるしかない、という気持ちだけがあった。だからこそ、余計な飾りをつけずにそのまま口から出た。
おじさんは「そうか……じゃあ頑張らないとな」と言って、にっこり微笑んだ。
その後、無事に願書を提出した。このおじさんが体育の先生だと知るのは、入学してからのことだ。