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ep.13 高校入学前

中学生に混じってパイプ椅子に座る、31歳のおじさん。

2020.02.09(日)

プレハブ校舎の前に着くと、すでに何人か並んでいた。

周りを見渡すと、制服姿の中学3年生と、その親御さんたちばかりだ。受付前に置かれたパイプ椅子に腰かけ、ストーブの近くを陣取った。ふと気がついた。隣に座っている親御さんたちの方が、僕の年齢に近い。

これからこんな若い子たちと一緒に勉強するのか、と改めて実感した。不思議な感覚だった。怖いとか、場違いだとか、そういう感情ではなく、ただただ「そういうことになったんだな」という、妙に落ち着いた気持ちだった。

部屋に入った瞬間から、視線を感じていた。

眼鏡をかけたおじさんが、こちらをじっと見ていた。学校関係者らしい。興味津々、という表情だった。順番を待つ間も、ちらちらとこちらを気にしている様子だった。やがてそのおじさんが近づいてきて、声をかけてきた。

「こんにちは。願書を出しにきたの?」

「そうです。」

「君はなんでうちの学校に入ろうと思ったの?」

正直に答えた。

「後悔したくないからです。やり直しにきました。」

言葉にした瞬間、自分でも驚くくらい、すっきりとした気持ちになった。覚悟は、もうとっくに決まっていた。迷いはなかった。やるしかない、という気持ちだけがあった。だからこそ、余計な飾りをつけずにそのまま口から出た。

おじさんは「そうか……じゃあ頑張らないとな」と言って、にっこり微笑んだ。

その後、無事に願書を提出した。このおじさんが体育の先生だと知るのは、入学してからのことだ。