入学願書をもらって、必要書類を確認した。
中学校の卒業証明書が必要だった。僕が卒業した中学校は大阪にある。郵送で対応してもらうしかない。電話をかけなければならなかった。
受話器を持ちながら、少し躊躇した。
緊張していた。それだけじゃなく、どこか恥ずかしさもあった。16年ぶりに連絡する母校に、「高校に入学するから卒業証明書が欲しい」と言わなければならない。31歳が、今さら高校に。そう思われるんじゃないか。そんな気持ちが、電話口に出る前から頭をよぎっていた。
深呼吸して、番号を押した。
受付を経由して、校長先生につないでもらった。面識はない。僕が卒業した頃とは、当然別の人だ。
「卒業証明書を発行したいのですが、郵送でも対応できますか?」
「なぜ卒業証明書が必要なんですか?」
校長先生の質問に、正直に答えた。
「これから高校に入学するんです。」
一瞬の間があった。何と言われるだろう。やっぱり変に思われるだろうか。
「それは素晴らしい。頑張ってください。すぐに郵送します。」
その言葉を聞いた瞬間、肩の力が抜けた。