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ep.11 高校入学前

定時制高校のHPを見ながら、僕は「行かない理由」を探していた。

2020.02.03(月)

あやちゃんママの一言が頭から離れないまま、パソコンを開いた。

定時制高校、と検索した。どんな学校なのか。授業は何時から何時まであるのか。学費はいくらかかるのか。30代で通っている人はいるのか。気になることを片っ端から調べた。

読めば読むほど、新しい疑問が浮かぶ。調べながら、ふと気がついた。

あれ、俺は「行かない理由」を探しているんじゃないか。

ハッとした。

夜間だから仕事と両立できる、30代で通っている人の体験談もある。そして調べて初めて知ったのだが、学費が無償化されていた。僕が現役で高校に通っていた頃は学費がかかっていたので、これは素直に嬉しかった。客観的に見れば、障壁はそれほど高くない。なのに僕の頭は「でも」「だって」「今さら」という言葉を探し続けていた。前向きに調べているように見えて、実は踏み出さないための言い訳を積み上げようとしていた。

それに気づいた瞬間、なんだか悔しくなった。また後ろ向きになっている。何かを成し遂げたくて東京まで来たんじゃなかったのか。

その夜、あやちゃんに話しかけた。

「高校、行ってみようかな。」

これからどうしようか、という話の流れだった。改まった感じではなく、ぽつりと口から出た。言いながら、答えはもうわかっていた。あやちゃんがどう返すか、聞く前から見えていた。

「いいんじゃない、行ったらいいよ。」

予想通りの言葉だった。でも、やっぱり嬉しかった。

あやちゃんはいつもそうだ。「どうしようかな」と迷っている僕に、余計なことを言わず、ただ背中を押してくれる。反対されたことも、否定されたことも、ない。「itakoが思ったようにすればいい」というのが、あやちゃんのスタンスだ。そのシンプルな言葉が、どれだけ僕を動かしてきたかわからない。