Re:31歳、高校生活はじめました
← 記事一覧へ
エピソード07

名古屋で意識を失って、気づいたら東京にいた

引越し当日の朝、目が覚めた瞬間から気持ちが高ぶっていた。

どんな新しい生活が待っているだろう。東京ではどんな仕事をするだろう。知らない街で、何かが変わる気がする。荷物をまとめながら、頭の中はすでに東京にあった。

友人が3人来てくれた。小学校や中学校からの付き合いで、何も言わなくても来てくれる、そういう奴らだ。狭い部屋に男4人が押し込んで、黙々と荷物を運び出した。笑いながら、たまにふざけながら、気づけば荷台はいっぱいになっていた。

出発の時間が来て、3人に手を振った。「頑張れよー」という声が聞こえた。それだけだった。長い言葉はなかったが、それで十分だった。

あやちゃんは1ヶ月前に先に東京へ転勤していた。この日はあやちゃんパパと一緒に、東京から大阪まで来てくれていた。荷物を積んで東京へ戻るという、とんでもないハードスケジュールだ。あやちゃんパパは口数の少ない人で、引越し作業の間もあまり喋らず、ただじっと見守ってくれていた。その静かな存在感が、なんとなく頼もしかった。

出発は夕方になっていた。東名高速を走りながら、僕はハンドルを握っていた。慢性的な睡眠不足の体に引越し作業の疲労が重なり、目がじわじわと重くなってきた。

名古屋のあたりで「少し休みましょう」ということになった。パーキングエリアに入り、あやちゃんパパが無言で運転席に座った。

シートを倒した瞬間、意識が途切れた。